VOL.12  個性と全体の調和をはかり美しい街並をつくる


 ある自治体などでは、機能性、画一性などを追求する街づくり(都市計画)への反省や物質的充足から精神的、文化的充足を求める市民生活の変貌と、市民が「わがまち」の環境、景観、風景を大切にしていこうという意識が高まりつつある。
 そして、わが街八戸でも、歴史・文化・風景の保全、緑化の推進、橋梁の美化(新湊橋・八戸大橋ライトアップ)、街路のカラー舗装化、電柱の地中化(十三日町)、建築物のデザインやモニュメント(舘鼻トンネル前・十三日町)など、生活環境デザインにも目が向けられるようになった。景観行政も若手職員の頑張りや市民の景観向上運動により、徐々にではあるが効果が出てきている。
 景観は土地や自然を基調として、その上に繰り広げられた人々の生活文化の表出したものと言われる。景観には、自然性に比重をおいた「自然景観」と人文性に比重をおいた「文化景観」を両極として、その間に幾段階もの「複合景観」が実在する。都市景観は、この複合景観のなかに位置づけられ、建物・道路・河川・橋・公園・緑道・街路樹・看板・山並み・海などの眺望など視野に入るあらゆる要素、ならびにその土地の自然や文化、歴史との連続性などで構成されている。そして、都市景観の美しさを表現する重要な要素の一つに"街並み"がある。街並みは、建築のデザインや道路空間の構成、連続性などが調和してはじめて、そのみえ方が美しくなる。しかし、今日の都市では私的権益の保護のために、一定の法律的制限以外には、個々の建築物にたいして周辺の環境へのデザイン的配慮をほとんど要求していない。
 そのため、一つ一つの建物は個性的な美しさをもってはいても、街並みとしてはちぐはぐになってしまう。街並みといういわば共有の財産に形態的秩序を与え、視覚的に美しい魅力ある街に生み出していくことが今必要だ。
 わが街で美しい街並みを形成するためには、一つ一つの建物の個性を認めながら、全体的な構成の調和をはかっていくことが必要である。その街(地区・町内)の目標に沿って、一つ一つの建物の個性との調和をはかり、またいつか隣り合うであろう別の建物の個性と調和をはかる。そうした積みあげの結果として生まれる全体の調和が、その街の美しい個性となっていくのである。

美しい街並をつくるために

@ 一、二階の表情を大切にする
 商業・業務街では、通りを歩く人の目にふれる。一、二階の利用法やデザインは、街の個性を表現するのに重要である。
A 街に合った建物の色彩や素材を選ぶ
 街の背景となるベースカラーをつくり、そのうえで色や素材の変化を生かす。また色彩計画を行なう。(たとえば中心街の中央ビルや東奥日報八戸支社の外壁の色をどう思いますか?)
B 広告物は節度をもってつくる
 広告や看板に適切な大きさやデザインを使用し、街全体として控えめなものを使っていれば、見やすい効果が得られる。地震の災害時のことを考えることも必要である。
C 共同化することで使いやすい建物と豊かな外部空間をつくる
 個々の店が共同化して、魅力ある買い物空間とすることも必要である。
D 壁面後退で連続した広い歩道をつくる
 八戸の道路は幅員が狭いものが多い。特に中心街や駅前の商店街では、建物の少なくても一階部分を道路境界から離して建てることで、安全で豊かな歩行者空間が得られる。
E 建物の前には小広場をつくる
 小広場は、その建物にとっても街にとっても、ワゴンセールやカフェテラス、買い物客の休憩の場として価値のあるものだ。
F 街角を演出する
 交差点は人が集まり、その敷地にとっても街にとっても価値が高くなるので、来訪者の目印となり、「街の顔」となるので演出とデザインが必要である。


三日町と十三日町間のホットな景観論争

 今、わが街の三日町銀座三栄会では十三日町の街路樹など街並みの景観を統一するか、老舗の商店街として個性を重視するか――で景観論争が起こっている。
 中心商店街の、十三日町・三日町・八日町でキャブシステム(電線地中化)の実施が決定しており、これを契機に壁面後退し歩道の拡幅や街路整備が行なわれている。既に十三日町では、翼を拡げたウミネコと昔の浮き玉をモチーフとしたデザインの街路灯やケヤキの街路樹、北側は八戸の海岸線と波型を、南側は南部古来の菱刺しをモチーフとしたパターンの磁器タイルの歩道、共通看板、ポスターボードや、「海の樹」と「春の風」のモニュメントも設置されて、新たな歩行者空間として生まれ変わっている。
 十三日町と隣設する三日町では、キャブ事業は4月から本格着工し、来年秋には街路灯、歩道板、街路樹、モニュメントなどの街路整備に入る予定である。しかし、街路整備の中心となる@街路灯 A街路樹 B歩道板――の3つについて先行した十三日町が、@支柱タイプの乳白色 A磁器タイル Bケヤキを導入しているのに対して三日町の計画は、@壁掛けタイプのオレンジ色 A御影石 Bモミジとサルスベリ――とすべて異なっている(モミジとサルスベリは大気汚染に弱く交通量の多いこの街路に不向きではなかろうか)。
 このため三日町商店街の内部からも「十三日町と全く異なった景観になり、何らかの統一感も必要では……」という意見も出始め、そのため3月26日に「街並み景観の在り方について」学識経験者や消費者代表を招いて懇談会を開催したもようである(デーリー東北4年3月27日付)。それによると、「街路灯を統一すべきだ」という景観の統一論の一方で「三日町は八戸の中心。特色のある街にした方が人が集まる」という個性重視論も飛び交い、結論が出なかったようである。
 豪さんとしては、十三日町・三日町・八日町の街区がある程度長ければそれでもよいが実際には短いので、街路灯・街路樹は統一し、歩道のデザインは変えたとしても材質は統一すべきだと思う。そして車道と歩道の境界は低木の植え込みにしたり、ベンチを設けるなどし、違う面でその街区の個性を導き出していくべきだと思う。
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新しい都市景観形成に必要なルール

 中心商店街において景観整備の整備を進める上での課題は、街並みの調和のなさ、建物の色彩のどぎつさ、歩行者空間の貧困、オープンスペースの乏しさ、緑と水辺の不足、歴史的景観の喪失、屋外広告物の氾濫、電柱・架線のわずらわしさなどがあげられる。今回のキャブ事業に伴う街路整備において、これらの課題はおおむね解消される。しかし、良好な景観を形成するうえでもうひとつ忘れてはいけないのが「約束ごと=ルール(例えば建築物や屋外広告物の形態や色彩などの規制)」である。
 わが街の協定には、公的なものとして八戸ハイテクパークのグリーン協定(建築物等に関する基準と緑化に関する基準等)と、私的なものとして三日町銀座三栄会の街づくり協定(建築・看板・歩道・営業時間等)がある。その他八戸ニュータウンではまちづくり憲章のもとに協定を作る計画がある。
 今回、中心商店街の街隣整備事業で浮かびあがった問題がある。
 一つは、街づくりを進めるうえでリーダーシップを発揮する機関がなかったことである(中心商業街区活性化研究会・シェイプアップマイタウン推進懇談会などあるが総合的に調整する力はないのではなかろうか?)。三日町で街づくり協定が結ばれてはいるが、わが街の現状を考慮した場合、中心商店街(二十三日町・十三日町・三日町・八日町など)で協定を結ぶ方向にもって行かなければならない。そしてその大枠の中で各々の街区が個性を発揮すべきだと思う。今、ようやくわが街もちょっとした都市デザインブームで、新湊橋、舘鼻トンネルのモニュメント、八戸駅前広場など一歩一歩良い方向にきている。いつかは市民参加の「まちづくり委員会」が必要になってくると思うが、早急に「都市デザイン室」というまちづくりとしての行政の窓口の設置が必要であり、そこで景観行政を展開してほしいと思う。
 もう一つは十三日町などは周囲の街区に比べ、撮影現場のセットのように浮き上がっている。この十三日町〜八日町の通りだけに限らず、長横町やロー丁、六日町なども街路整備を行ない、人々が安全に快適に歩ける空間にしていかなくてはいけない。そして"つくりっぱなし"や"つくりすぎ"ないようにし、景観を都市の財産として次世代につなげるような発想をもち、時間をゆっくりかけて、自然と歴史を生かし周辺景観との調和を図りながら、新しい都市景観をつくる姿勢が大事である。
 わが街では何度かの火災によって、まちの歴史性を失ってきた。今だからこそ21世紀に向けて、八戸の自然や文化と有機的につながった、深みのある都市景観を創出しなければならない。

※ 街のあちこちで樹木のイルミネーションをよく見かける。夜間は味わい深いものがあるが、冬の一定期間だけにしてもらいたい。樹木の萌芽が始まる春まではやめてもらいたい。樹木は生きているのです。(4月15日記)
※ 読者の皆さんへ。八戸の街づくりについて感じること考えることを編集部までお寄せ下さい。