VOL.7  青森・岩手県境不法投棄事件

37年前の航空写真で沢だった所が、今は丘になっている

 事件の舞台は、田子町茂市地区と二戸市上斗米地区にまたがる広大な原野。三栄化学工業(八戸市)の事業場内で、不法投棄は、長い年月にわたり行われてきた。
 この事件は、1994年4月から同11月までに投棄したRDF(固形化燃料)を装った「ごみ固形物」約8000トン。だが、本県側ではごみ固形物だけでも1万7000トンあるとされ、有害物質に汚染されたたい肥は約12万トンに上るとみられる。岩手県側では有害物質が混入したドラム缶200本以上のほか、燃え殻や鶏ふんなどが大量に見つかっている。一部で撤去作業が行われているが、ほとんどは現場に残されたままである。
 廃棄物を排出した縣南衛生(埼玉県)が破産した際、債権申請のために本県側が試算した廃棄物撤去の費用は約75億円だという。これは、仮に行政代執行でごみ固形物や汚染されたたい肥をすべて撤去し、焼却したり処分場に埋め立てた場合の想定額である。
この問題は、田子町や二戸市だけの問題ではない。県に任せてよいものでもない。
八戸に住む私たちにとっても、知らないでは済まされない問題である。
それは、現場が地下浸透が容易な地質で大量の産廃を遮水壁で封じ込めることはできないということである。また有害物質などが近くの熊原川から馬淵川に流出する恐れも考えられるからである。
また、今後の市町村合併にも関わってくる。 

青森・岩手県境不法投棄事件の経緯(青森県環境政策課資料より)

・ 平成11年11月30日 岩手・青森県警が強制捜査着手
・ 平成12年 6月14日 2法人及び2個人を起訴
・         6月28日 三栄化学工業鰍ノ対し、措置命令(RDF様物)
・         7月14日 縣南衛生鰍ノ対し、措置命令(RDF様物)
・          8月22日 両法人に対し、措置命令(堆肥様物)
・          8月23日 三栄化学工業株に対し、業の許可取消処分
・          9月19日 平成12年度汚染実態調査開始
・         10月 5日 縣南衛生鰍フ破産決定
・         12月 8日 調査結果に対する専門家会議開催
・ 平成13年 2月15日 田子町周辺住民説明会開催
(第1回目:12年度調査結果について説明)
・         2月27日 縣南衛生轄ツ権者集会(約75億円の債権を説明)
・         5月 2日 判決公判
                 両法人  罰金2千万円
                依田清孝(縣南衛生椛纒\者)→控訴→上告
                罰金1千万円・懲役2年6月(執行猶予4年)
                源新重信(三栄化学工業椛纒\者)死亡により免訴
・         6月 1日 三栄化学工業鰍ェ解散(清算人:同社社長)
・         7月17日 田子町周辺住民説明会開催
(第2回目:13年度調査計画について説明)
・         9月 8日 不法投棄現場住民視察
・ 平成14年 3月 2日 田子町周辺住民説明会開催             
(第3回目:原状回復方法「封じ込め」について説明)
・         4月25日 県境不法投棄合同連絡会議開催(岩手県東京事務所)
・         5月30日 県境不法投棄に係る合同会議開催(二戸市)

1.調査概要
  平成12年度 汚染実態調査
   ・事業場の地形及び廃棄物の概況調査
   ・電気伝導度測定調査
   ・表層ガス調査           
   ・ボ−リング調査(8地点)             
   ・周辺環境影響調査(水質モニタリング調査)
  平成13年度 汚染実態追加調査
   ・地下水流向流速調査(岩手県合同調査)
   ・空中物理探査調査(岩手県域を含む)
   ・高密度電気探査                          
   ・汚染源特性把握等調査(ボ−リング7地点)
   ・周辺環境影響調査(水質モニタリング調査)
   これらを総合解析した結果
   原状回復方法の提言とモニタリング方法の提言


2.調査結果
1.廃棄物は、焼却灰主体、堆肥様物主体、汚泥主体、RDF様物主体の4種類である。
2.不法投棄廃棄物の推定量(青森県側)は、約67万?と見積もられる。
3.現場全体において揮発性有機塩素化合物による汚染が確認された。
4.高濃度のダイオキシン類に汚染されている廃棄物が、一部区域で確認されている。
5.廃棄物層の下位にある土壌の分析結果は、おおむね環境基準値以下であった。
6.現場中央部の堆肥様物からの浸出水は、不透水層の上部で拡散していることから、汚染による周辺環境への影響が懸念される。
7.周辺環境における水質調査の結果、環境基準はおおむねクリヤ−しているが、田子町の旧上水道水源(現在取水停止中)において、汚染の指標となる電気伝導度が上昇傾向で推移していることから、現場からの影響が推測されている。
8.現場内には、数万年前に生じたと思われる小規模な地すべりが存在する可能性が指摘さた。
規模は香川県・豊島の事件に匹敵する
 
 田子・二戸の産業廃棄物不法投棄事件は、全国各地で起きている不法投棄とは既に別格と位置付けられている。全国最大級とされる香川県・豊島(不法投棄の現場約25.8ヘクタール、廃棄物量50万トン以上)の事件に匹敵すると国内最大規模である。
 本県側の産廃67万立方メートルは180万人の人間が一年間生活して捨てたごみの量に匹敵するという。
 産廃に含まれる有害物質の流出や、産廃からしみ出た水による環境への影響が懸念される。汚染拡大を防ぐためには、全量撤去が最善の方法である。
 地域住民は、「負の遺産」を半永久的に現場に封印する方式に猛反発している。それは首都圏など、よそから持ち込まれた産廃である。都会で適正に処理すべきごみをなぜ地元が後始末しなければならないのか。
 ごみの中には有機塩素化合物や高濃度ダイオキシン類など有害物質も大量に含まれている。住民の健康と命にかかわり、農産物の風評被害にもつながる。
 
2002年版の循環型社会白書は「資源の浪費を通じての成長は終わった。今後の成長は循環によって支えられる」と指摘し、大量生産・大量消費・大量廃棄から転換して、持続可能な社会を築くことを提言している。
 
今後、私たちみんなで、この産業廃棄物問題を考えていかなければならない。

「青森・岩手県境不法投棄に係る合同会議」の議事録は、「エコ・ナビ・あおもり」のホームページでご紹介しています。http://www.pref.aomori.jp/kankyo/econavi/



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C八戸芸術パーク構想のPFI導入可能性調査について
D教育行政についてお伺いいたします。
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